- インプラント
インプラントをしているとMRI・CTは受けられる?歯科医師が解説
歯科インプラント(多くはチタン製)が入っている方も、MRIやCTの画像検査は基本的に受けられます。ただし、金属の影響で検査画像に乱れ(アーチファクト)が出ることがあるため、検査の前にインプラントの有無と種類をお伝えいただくことが大切です。
MRIでインプラントが熱くなったり動いたりしない?
強い磁場を使うMRIでは、体内の金属が発熱したり動いたりしないかが心配されます。研究では、チタン製インプラントや銀歯(アマルガム)について、1.5テスラのMRIでの温度上昇はおおむね0.4℃前後で、いずれも1.0℃未満にとどまることが報告されています。1.0℃未満の上昇は血流などで自然に逃がせる範囲とされ、やけどなどの心配は通常ありません。より強い3.0TのMRIでも、温度上昇は1.0℃を超えないと報告されています。
マグネット式の入れ歯(磁性アタッチメント)は注意が必要です
入れ歯を磁石で固定する「磁性アタッチメント」を使っている場合は、少し注意が必要です。磁石の部品(キーパー)はMRIの磁場で引っぱられる力を受けますが、歯科用の部品はとても小さく、歯科用セメントでしっかり固定されていれば、3.0T以下のMRIで外れたり動いたりする心配は通常ありません。日本磁気歯科学会も2022年に「磁性アタッチメント装着者のMRI安全基準マニュアル」を公開しています。MRIの前後に、かかりつけ歯科で固定状態を確認してもらうとよいでしょう。
検査画像の「乱れ」(アーチファクト)について
インプラントなどの金属は、MRI・CTの画像に乱れ(アーチファクト)を生じさせ、まわりの組織が見えにくくなることがあります。乱れの大きさは材質によって異なり、純チタンで大きく、チタン・ジルコニウム合金で中程度、セラミックのジルコニアでは小さいことが報告されています。また、前歯部のインプラントは奥歯より画像の信号欠損が大きい傾向があります。
画像の乱れを抑える技術があります
近年は、金属による画像の乱れを抑える専用の撮像技術(VAT、SEMAC、MAVRICなど)が発展し、あごの骨や神経の見え方が大きく改善しています。ただし、これらの技術は材質に合わせて使い分ける必要があり、たとえばセラミックのジルコニアにこの技術を使うと、かえって画像が乱れることが知られています。撮像時間が長くなる場合もあるため、放射線科で状況に応じて調整されます。
CT検査について
CTでも金属によるアーチファクト(ビームハードニングなど)が生じますが、各メーカーの金属アーチファクト低減(MAR)技術によって、インプラント周囲の骨などの評価がしやすくなっています。
検査をスムーズに受けるために
大切なのは、検査の前に「インプラントが入っていること」、できればその材質(チタン・合金・ジルコニアなど)と部位を医療機関に伝えることです。磁石式の入れ歯の場合はその旨も必ずお伝えください。歯科医師が材質や状態の情報を提供し、放射線科が最適な撮像方法を選ぶことで、安全性と画像の精度の両立につながります。
院長より
当院ではインプラントの診断にCTを活用しています。治療を受けられた方には、他の医療機関でMRIやCTを受ける際に、インプラントがある旨をお伝えいただくようご案内しています。ご不明な点はお気軽にご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q. インプラントがあるとMRIは受けられませんか?
A. 多くのチタン製インプラントはMRIを受けられます。発熱による問題は起こりにくいとされていますが、検査前にインプラントがあることをお伝えください。
Q. 磁石で留める入れ歯ですが、MRIは大丈夫ですか?
A. しっかり固定されていれば、3.0T以下のMRIで外れる心配は通常ありません。念のため、検査の前後にかかりつけ歯科で固定状態を確認してもらうとよいでしょう。
Q. インプラントがあると画像はきれいに写りませんか?
A. 金属の影響で乱れが出ることがありますが、材質により程度が異なり、専用の補正技術で改善できます。検査の目的部位によって影響は変わります。
Q. CTも受けられますか?
A. 受けられます。金属による乱れは生じますが、低減技術で骨などの評価がしやすくなっています。
Q. 検査のときに何を伝えればよいですか?
A. インプラントの有無、できれば材質と部位、磁石式の入れ歯の有無をお伝えください。
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執筆・監修: 江間秀明(歯科医師 / 江間ファミリー歯科・矯正歯科 副院長)
監修日: 2026年6月1日