夜も眠れない「拍動痛」 ── 歯科医師自身が経験した、歯がズキズキ痛むときの原因と対処法 | 江間ファミリー歯科・矯正歯科 | 江間ファミリー歯科・矯正歯科 | 山梨県甲府市
コラム
診療時間
診療時間
9:00~13:00
14:00~18:00

※但し、祝日がある週の水曜日は診療。

2024.11.11
  • 予防・一般

夜も眠れない「拍動痛」 ── 歯科医師自身が経験した、歯がズキズキ痛むときの原因と対処法 | 江間ファミリー歯科・矯正歯科

こんにちは。江間ファミリー歯科・矯正歯科の副院長、江間秀明です。

歯科医院に駆け込んでくる患者さんの多くが訴えるのが、夜も眠れないほどのズキズキとした歯の痛みです。心臓の鼓動に合わせて脈打つように痛むことから「拍動痛(はくどうつう)」と呼ばれます。

実は私自身、この拍動痛を経験したことがあります。今日はその実体験も交えながら、拍動痛の原因と、歯科を受診するまでにできる対処法をお伝えします。

私が経験した、二種類の歯の痛み

私が経験した歯の痛みは、痛み方のはっきり違う二種類でした。

ひとつは、親知らずの虫歯で歯の神経が痛んだときです。これは「放散痛」といって、痛む場所がはっきり特定できない痛みでした。痛みがあちこちに移動するような感じで、上の歯が痛いのか下の歯が痛いのか、自分でもわからない。歯科医師である私でも、漠然と痛い、としか言えない状態でした。

もうひとつは、歯の周りにある「歯根膜(しこんまく)」という組織が痛んだときです。こちらは正反対で、歯が浮いたような感じがして、噛むとその歯が実際に強く当たる。「ここが痛い」と指で一本の歯を差せるくらい、痛む場所がはっきりわかりました。

そして、どちらの痛みのときも、私は一晩まったく眠れませんでした。歯の痛みが生活の質をどれほど落とすか、身をもって知っています。

痛み方の違いには、理由があります

痛む場所がわかるかどうかの違いは、痛みの出どころの違いから来ています。拍動痛の主な原因は次の四つです。

急性歯髄炎(きゅうせいしずいえん)

虫歯が進行して歯の神経(歯髄)まで達し、炎症が起きた状態です。歯の内部の圧力が高まり、脈打つような痛みが生じます。拍動痛の原因として最も多く、私が経験した「場所が特定できない放散痛」もこのタイプでした。

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)

歯の根の先に膿がたまる病気です。過去に神経の治療をした歯や、虫歯を長く放置した歯に起こりやすく、歯根膜に炎症が及ぶため、私が経験したような「歯が浮いて噛むと痛む、場所のはっきりわかる痛み」が出ます。

歯周膿瘍(ししゅうのうよう)

歯周病が進行し、歯周ポケットの中に膿がたまった状態です。歯ぐきが腫れて脈打つように痛みます。

智歯周囲炎(ちししゅういえん)

親知らずの周囲の歯ぐきに炎症が起きた状態です。特に、下顎の親知らずが中途半端に生えている場合に起こりやすくなります。

受診までにできる応急処置

歯科を受診するまでの間、私が患者さんにお伝えしている対処法は次の三つです。私自身が痛みをしのいだ方法でもあります。

  • 痛み止めを服用する。市販の鎮痛薬でかまいません。痛みが強いときは我慢せず使ってください。
  • 患部を冷やす。頬の外側から、冷たいタオルや保冷剤で冷やします。氷を直接当てるのは避けてください。
  • 体を起こしておく。横になると頭部の血流が増え、痛みが強くなる傾向があります。座って過ごすか、休むときも枕を高くしてください。

やってはいけないこと

逆に、次のことは痛みを強めるため避けてください。患部を温めること、アルコールを飲むこと、激しい運動や入浴、そして痛む歯を指や舌で触ることです。いずれも血流が増えたり感染が広がったりする原因になります。

応急処置は、あくまで一時しのぎです

痛み止めや冷やすことで、痛みは一時的に和らぎます。ですが、それで痛みが引いても、原因そのものがなくなったわけではありません。痛みがいったん落ち着くと「治った」と感じてしまいがちですが、炎症は内側で進行していることがあります。

私が患者さんに一番お伝えしたいのは、ここです。応急処置で一時的にしのげても、放置はしないでください。痛みは生活の質を確実に落としますし、放置すれば治療が大がかりになることもあります。

歯科医院での治療

拍動痛の治療は、原因によって異なります。急性歯髄炎では歯の神経を取る治療(抜髄)、根尖性歯周炎では根管治療(歯の根の再治療)、歯周膿瘍では切開して膿を出し歯周病の治療、智歯周囲炎では炎症を抑えたうえで親知らずの抜歯を検討します。いずれの場合も、まず炎症を抑えるために抗生物質や消炎鎮痛剤を処方することがあります。

当院での対応について

強い痛みがあるときは、我慢せず、まず当院までお電話ください。来院前にご連絡いただければ、その時の状況に応じて対応させていただきます。

電話: 055-226-5582

夜間・休日に痛みが出たときは

診療時間外に強い痛みが出た場合、甲府市内では次の窓口で対応してもらえます。

甲府市夜間歯科救急センター(年中無休)
診療時間: 月〜土曜日 19:00〜23:00 / 休・祝日 17:00〜23:00
電話: 055-220-1199
所在地: 山梨県甲府市幸町14-6 甲府市地域医療センター1階

このほか、山梨県救急医療情報センター(電話: 055-224-4199)でも、対応している医療機関を案内してもらえます。夜間や休日に痛みが出たときの連絡先として、控えておくとよいでしょう。

まとめ

拍動痛は、夜も眠れないほどつらい痛みです。私自身、放散痛と歯根膜の痛みの両方を経験し、一晩眠れずに過ごしました。市販の鎮痛薬と冷却、体を起こすことで一時的にしのぐことはできますが、それは応急処置にすぎません。痛みの陰では原因が進行しています。気になる症状があるときは、できるだけ早めにご相談ください。

執筆・監修: 江間秀明(歯科医師 / 江間ファミリー歯科・矯正歯科 副院長)
監修日: 2026年5月22日